2021年1月18日、厚生労働省労働政策審議会の建議「男性の育児休業取得促進策等について」が公表されました。
男性の育児休業取得率は7.48%(令和元年度)と未だ低い水準であり、取得期間も男性の場合は約8割が1か月未満となっています。一方、育児休業等の取得を希望していた男性労働者のうち、育児休業制度の利用を希望していたができなかった者の割合は約4割にのぼります。また、第一子出産後に約5割もの女性が出産・育児により退職している現状もあり、男性の育児休業取得を促進することは、女性の雇用継続にも大いにプラスになります。
こうした現状を踏まえ、同建議では、以下の内容が提言されています。厚生労働省では、この建議の内容を踏まえて法律案要綱を作成し、労働政策審議会に諮問する予定とされていますので、今後、法案化され、国会で審議されることが予想されます。
【建議の主な内容】
(1)子の出生直後の休業取得を促進する枠組み
・男性の取得ニーズの高い子の出生直後の時期に育児休業を取得しやすい新たな仕組み(子の出生後8週の間に4週間の育児休業。以下「新制度」という)を設けることが適当
・新制度は、現行の育児休業と同様、労働者の申出により取得できる権利とすることが適当
・新制度は、分割して2回取得可能とすることが適当
・労使協定を締結した上で、労働者と事業主が個別に同意した場合には、新制度に限り、休業中の就労を認めることが適当
(2)妊娠・出産(本人または配偶者)の申出をした労働者に対する個別の働きかけ及び環境整備
・新制度及び現行の育児休業を取得しやすい職場環境の整備(研修、相談窓口設置、制度や取得事例の情報提供等の複数の選択肢からいずれかを選択)を事業主に義務付けることが適当
・労働者への個別の働きかけとして、本人又は配偶者の妊娠・出産の申出をした労働者に対し、新制度及び現行の育児休業制度等の周知、制度取得意向の確認(面談での制度説明、書面等による制度の情報提供等の複数の選択肢からいずれかを選択)を事業主に義務付けることが適当
(3)育児休業の分割取得等
・現行の育児休業についても、分割して2回取得可能とすることが適当
・1歳以降も延長して育児休業を取得する場合について、開始日を柔軟化することで、各期間の途中でも夫婦で交代して育児休業を取得可能とすることが適当
(4)育児休業取得率の公表の促進等
・従業員1001人以上の大企業に、男性の育児休業等取得率又は育児休業等及び育児目的休暇の取得率の公表を義務付けることが適当
(5)有期雇用労働者の育児・介護休業取得促進
・雇用形態にかかわらず育児・介護休業を取得しやすくなるよう、有期雇用労働者の「引き続き雇用された期間が1年以上」の要件について、無期雇用労働者と同様の取扱い(労使協定の締結により除外可)とすることが適当
上記のほか、くるみん認定基準の見直しも盛り込まれています。また、施行までの期間については、企業において準備が必要なものについては十分な準備期間を設けることが適当とされており、今後の動向を注視したいと思います。
◇ 厚生労働省報道発表資料「労働政策審議会建議「男性の育児休業取得促進策等について」を公表します」(2021年1月18日)