働き方改革関連法の施行時期がだんだん近づいてきました。
残業時間の上限規制や、年5日の年次有給休暇の取得、高度プロフェッショナル制度などが注目されていますが、今回の改正で、フレックスタイム制も拡充されていますので、ご紹介したいと思います。
フレックスタイム制とは、あらかじめ、働く時間の総量(総労働時間)を決めた上で、日々の出退勤時刻や働く長さを従業員が自由に決定することができる労働時間制度です。従業員にとっては、日々の都合に合わせて労働時間を配分することができるため、プライベートと仕事とのバランスがとりやすくなります。
フレックスタイム制が適用される従業員は、1日8時間・週40時間という法定労働時間を超えて労働してもただちに時間外労働とはならず、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間数が時間外労働となります。現在は、この清算期間の上限が1か月ですが、来月(2019年4月)からは、清算期間の上限が3か月に延長されます。これにより、たとえば、小学生のお子さんのいる従業員が、7・8・9月のうち8月の労働時間を短くし、7・9月の労働時間を長くすることで、夏休み中のお子さんと過ごす時間を確保しやすくなるといったメリットがあります。企業にとっても、1か月の平均で法定労働時間を超えていたとしても、3か月の平均で法定労働時間を超えていなければ割増賃金を支払わなくてよい(ただし、1か月ごとの労働時間が週平均50時間を超える場合は割増賃金の支払いが必要)といったメリットがあります。
フレックスタイム制を導入するには、就業規則への定めと労使協定の締結(届出不要)が必要ですが、清算期間が1か月を超える場合には、労使協定の労働基準監督署への届出も必要になります。清算期間を3か月にした場合、労働時間の把握が複雑になるなどデメリットもありますが、柔軟な働き方を認める一つの選択肢として活用できるのではないかと思います。
◇ 厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」