千葉県野田市で小学校4年生の女の子が虐待で亡くなった事件を受け、政府では法改正が検討されているようです。新聞報道で知る限りでは、「体罰禁止」の明記や関係行政機関の連携強化などが検討されているようです。もちろん、行政の体制強化も必要ですが、資源が限られているなかで、児童相談所をはじめとする相談機関や警察、学校など行政だけの対応では限界があると思います。身近にいる人たちが、虐待の兆候に気づいてあげられるか、ちょっとした手助けをしてあげられるか。つまり、職場や地域でフォローする社会システムを機能させることが大切なのだと思います。
行政の仕事をしていたときに、ある児童養護施設の経営者の方が「ほんの少しの手助けがあったなら施設に入所しなくてもよかったのではないか、という子どもたちが多い。できるだけ子どもたちとその保護者に手を差し伸べ、施設に入所する子どもを減らすために、保育所をつくった」という話をしてくださったことが今でもとても印象に残っています。
「働き方改革」の一環として長時間労働を見直そうという動きがあります。これには、短時間で成果を上げる働き方に転換する、というイメージがあります。それはそのとおりですが、それを実行するためには、これまで以上に職場のコミュニケーションを円滑にする必要がありますし、労働時間短縮により他の活動(他の仕事、家事、育児、介護、趣味、学習、ボランティア等)に関わる時間ができることで、多くの気づきを得られる、ということでもあります。そもそも、精神的にも時間的にも余裕がなければ、まわりのことに関心をもつことすらできません。職場でも地域でも、周囲とつながり、気づきを得ていくことで、新たな発想が生まれたり、困っている人たちに手を差し伸べたりすることもできるのではないかと考えています。